シーパラダイスの飼育日誌をご紹介します。
飼育日誌 Vol.52 【 2024.05.17更新 】
▲ 保護直後の痩せが目立つゴマフアザラシ。
▲ 順調に体重も増えると海水飼育に切り替えます。
▲ とても可愛い顔をしています。
涎も出ていて摂餌意欲もある証拠ですね。
皆様こんにちは!
あっという間に4月が過ぎ去り…5月になってしまいました(汗)
GWは皆さまおでかけでしたか?それとも家でのんびりでしたか?
こちらシーパラダイスでは毎年恒例のアザラシとの輪投げイベントを行いました。
連日たくさんの方にお越しいただき楽しんでいただきました!
ありがとうございました♪
さて、今回のお話は前回に引き続き保護についてです。
今日は保護時の注意点と保護した後の飼育環境についてです。
①保護時の注意点
保護される赤ちゃんアザラシは衰弱しているので比較的抵抗は少ないかもしれませんが、生後2週間も過ぎると歯は生えそろい、嚙まれると危険なので厚手のゴム手袋などを着用して接します。
なので、もし一般の方が赤ちゃんアザラシを見つけても、むやみに触ろうとしてはいけません。
必ず触らずに状況を連絡していただければと思います。
そして現場では赤ちゃんアザラシの衰弱の有無をみますが、上陸後に周辺の砂や石を飲み込んでいることもあるので保護現場の状況を観察、記録に残します。
保護された赤ちゃんアザラシの便から砂が出ることはよくあります。
②飼育環境について
保護された赤ちゃんアザラシは個別の飼育スペースへ搬入します。
アザラシだから水の中で飼育するよね?と思われると思いますが、衰弱している、痩せているアザラシを海水に入れることは逆に危険です。なぜならより体力を奪ってしまうからです。すのこを敷いた小さなプール内で飼育、観察します。北海道はまだまだ寒い日もあるので極端に寒い日は麻袋や毛布を敷いて保温します。
日光浴などは特段気を付けなくても大丈夫ですが、体温が上昇しないように気を付けます。
自力で摂餌し、ある程度の脂肪もつき肺炎等の恐れもなければ水中飼育へ切り替えた方が気温差もなくなり、体の負担は少なくなります。
飼育水もいきなり満水まで入れてしまうのではなく、最初はお湯と水を混ぜたものを体が浸かるくらいまで入れたりして徐々に水位を高くしていきます。最終的に海水だけを常に満水にしておける状態になればOKです。
さて、今日はここまで!
次もまた何か保護の事をお話し出来ればと思います!
また次回お会いしましょう。
飼育員 おおば
飼育日誌 Vol.51 【 2024.03.27 更新 】
▲ 保護された赤ちゃんアザラシ(ゴマフアザラシ)
まだ前肢や後肢にホワイトコートが残っています。
痩せが目立ちます。
▲ 保護された赤ちゃんアザラシ(ワモンアザラシ)
ほぼ全身ホワイトコートに包まれています。
▲ 保護されて3週間ほど経過したゴマフアザラシの
幼獣。毛は大人の模様へと抜け替わりました。体重の
増加もみられます。(1枚目とは別のアザラシです)
皆様こんにちは!
3月ももうあと少しで終了となりました。
そしてアザラシ達は繁殖期へと突入し始めました。
シーパラダイスではキョロちゃんが摂餌不良とまではいきませんが
波のある摂餌をしていて飼育員も毎日ヒヤヒヤしています。
そしてそろそろ聞こえてきそうなのが保護要請です。
保護はだいたい4月に入って5月位までが多いのですが、早いと今時期位からたまに保護要請があります。
流氷上で出産をするアザラシ達は今がまさに出産シーズンです。
今回は保護されるアザラシの状態、保護をするかしないかの判断基準について書いていきたいと思います。
①保護されるアザラシはどんな状態?
オホーツクとっかりセンターで保護されるアザラシはゴマフアザラシがほとんどなのですが、春には赤ちゃんアザラシが、秋から冬にかけては主に漁師さんの仕掛けた網に羅網したアザラシが保護されることがあります。最近は羅網したアザラシを保護することはなかなかないのですが、過去とっかりセンターでは保護が始まった当初は羅網してけがをしたアザラシの保護も多かったです。
そのうち保護される赤ちゃんアザラシは、無摂餌状態(餌を食べられていない)が多く、脱水や中には肺炎などの症状が見られることもあります。
生後2~3週間ぐらいだと20㎏から大きい子では30㎏ほどないといけない体重が10㎏前後しかなく、かなり痩せが目立つ状態がほとんどです。
②保護の決め手とは?
上記で説明した通り、保護要請のあった現場に行くと、とても痩せ細ったアザラシがポツンと寝ている状態で発見されることがほとんどです。海で泳ぐ体力も残されていません。そんな赤ちゃんアザラシは抵抗する力も人間に対して威嚇する力もほぼ残されていません。頑張って威嚇してきても衰弱がひどい、かなり痩せている場合、保護します。
逆に現場に行って対象のアザラシの側まで行くと驚いて海へ入って逃げたり、元気に威嚇してその場から離れていく赤ちゃんアザラシもいます。ただ寝ていただけ…という感じです。弱って寝ているのか、ただ休憩がしたくて寝ているのか、赤ちゃんアザラシなら体も小さいですし一般の方も判断がつきません。多少の痩せが見られたとしても元気に泳げるなら保護の必要はなしと判断します。海に入って追いかけるわけにもいきませんしね(笑)
ただ、何度も同じ場所に上陸するようになったり、明らかな異変が見られるようになってくる場合もあるので、要警戒としておきます。
それでは今回はここまで!
次回も保護活動について何か書ければと思います。
また次回お会いしましょう。
飼育員 おおば
飼育日誌 Vol.50 【 2024.02.28更新 】
▲ 恥ずかしいポーズ
▲ 今年で36歳、イケオジ。
▲ 飼育員とお返事ハーイ!
皆様こんにちは!
ついに飼育日誌も50回目となりました。
XやInstagramでは紹介しきれない事を主にたくさん書いていますのでこれを機に良かったら見返してみて下さいね。
さて、現在シーパラダイスではいつもの餌やり体験を増員してご案内しています。
いつもより一度にたくさんの方をご案内するので内容は通常とは若干異なりますがたくさんの方に参加していただいております。
本当にありがとうございます。
その餌やり体験の中で主に出しているサインの一つに「恥ずかしいポーズ」という技があります。
とても簡単なサインなので気軽に体験していただけるのですが
・・・困ったことが起きました。
何回もそのサインを出すうちに、アグくんは先読みをするようになってきました。
サインの指の動きの最初のモーションを見たら顔を隠すようになったのです(笑)
早く魚が欲しいアグは「これでしょ!?」と言わんばかりにやってのけるのですが
こちらはお客様が出すサインよりアグが早くポーズを決めてしまうものだからタジタジです(汗)
本当にアグは頭が賢いなぁと改めて実感します。すぐ流れを覚えてしまうのです。
あまり同じサインばかりなのも刺激が無いので控えようと思いました。
いつまでも若々しくいてもらえるように考える力を刺激し続けたいと思います。
そんなこんなありつつ、2月ももう終わりが見えてきました。
3月に入るといよいよアザラシ達は出産シーズンを迎えます。
流氷は残念ながらはるか沖合にあるようで陸地からは水平線上にも見えません。
(2月21日現在)
来月の飼育日誌には保護活動の事も触れられたらと思います。
それでは今回はここまで!また次でお会いしましょう。
飼育員おおば
飼育日誌 Vol.49 【 2024.01.16更新 】
大変ご無沙汰な更新となってしまいました。
あっという間に2024年になってしまい月日の速さに驚いています。
昨年の夏は紋別とは思えないほどの酷暑が続き、アザラシ達にはつらい夏となりました。
海水温も25度を超え、その状況にとても危機を感じました。
温暖化を実感した初めての夏でした。
そして冬になり、いつも通り寒いマイナスの日が続いています。
夏の影響で暖冬になるか?と心配していましたがあまりそこまでは感じられず、とても寒い日々です。
アザラシ達は久しぶりの雪に大はしゃぎで遊んでいます(笑)
さて、話は変わりまして…
昨年夏、オホーツクとっかりセンターはコロナも5類に移行したことにより実習生の受け入れを再開いたしました。
7月から専門学校生や大学生が実習に来ていました。
今回は「実習とはなんぞや、実習生として大切な事とは?」などをお話ししたいと思います。
(あくまで個人的な観点です)
まず、実習とはなんぞや?ですが…
実習には「飼育実習」と「博物館実習」の2種類があります。
とっかりセンターでは主に「飼育実習」を受け入れています。
実務的な飼育業務の研修となり、将来飼育員を目指す方に向けての内容となります。
アザラシの飼育業務、接客対応、その他(清掃等)施設の管理運営にかかわること全般です。
実習生は雑務的なことからお客様への案内、日々の給餌の見学などを行い、
最終的には一人でアザラシへの給餌が出来るようになると、とても良い実習になります。
次に実習生として大切な事とは?ですが…
ずばり、「学ぶ姿勢」です。
これはあくまで過去何人もの実習生を見てきた個人的な意見ですが
原点にして頂点のこの姿勢が一番大事だと感じています。
実習に申し込んできたのだからこの考えを持っているのは当たり前なのでは?と思う方も
いるとは思いますが、この基本が見えない実習生を最近よく見ます。
施設側は飼育員になりたいと頑張っている方を通常業務を割いてまで指導し、
応援したいのですがその姿勢が見えない方にはどう応援してあげたらいいのか悩みます。
私はこれを学びたい!知りたい!という気持ちが表れている実習生は必ず確かなものを
得て実習を終えることが出来ています。
動物飼育というものは一つの命を預かる、とても責任感が必要な仕事です。
どんな動物にせよ、一度関わった命に真摯に向き合う力が必要です。
実習であってもその施設の動物と少なくてもその期間は関わることになります。
実習生であっても、その姿勢が見えるか?そしてどういう飼育員になりたいのか。
まだまだ学生ですし難しいとは思いますが、ぜひこの「学ぶ姿勢」を忘れずにいてほしいと思います。
さて、今回はここまで。
今年は頑張って毎月更新を目指したいと思います(汗)
飼育員 おおば
飼育日誌 Vol.48 【 2023.05.16更新 】
皆さんこんにちは!
あっという間にGWも終わりシーパラダイスは再びのんびーりとしています。
GWにご来場いただきました皆様ありがとうございました!
今日はGW中に行われたイベント、輪投げ大会の様子をお届けします。
アザラシに向かって輪を投げていただくとアザラシが上手にキャッチしてくれるイベントです。
GWイベントとしては4回目くらいになる人気のイベントです。
お相手はベテランアグくんです!
日和ちゃんも出たいなぁと思い練習しましたがちょっとそわそわしてしまうのでアグくんにお願いしました。
アグくんはお魚下さい!!とブーブー鳴きながらも(笑)
輪っかキャッチ歴、うん十年の技を見せてくれました。
▲ ジーッと輪っかを見つめるアグ
幼児の方から大人の方まで3日間で合計37名の方にご参加いただきました!
「楽しかったー‼可愛かったー‼」と皆様に楽しんでいただけて良かったです♪
アグくんもお疲れさま(*^^*)
▲ また遊びに来てね~byアグ
次は2023年7月17日(月・祝)海の日にじゃんけん大会を予定しています。
こちらも毎年行われるイベントで、見事1位になった方には豪華景品をプレゼントする予定です。
また告知しますのでHPや各SNSをチェックして下さいね!
それでは今回はここまで!
次の飼育日誌でお会いしましょう♪
飼育員 おおば
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